多賀城山岳会10月の計画は、仙人沢をダンゴ平へ登り、怪峰仙台神室岳を往復、県境の尾根道を上り下りして二口林道へ抜ける、と言うものでした。


2万5千分の1の地図はこちら

http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?id=57402355

http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?id=57403305&slidex=1200&slidey=2000


4:50 多賀城市役所に集まったとき、金星がきれいにきらめいて、いい天気を約束。そのとおり1日、とてもいい天気で、尾根筋は紅葉が真っ盛り、大変にすばらしい山登りが出来ました。登山はね・・・。


入り口 仙人沢登山道の入り口。

地元に住んでいても、めったに来ることの出来ないコース計画で、ここは行きたい人が多くて19人の参加者。

支度していざ出発。

仙人大滝 道は仙人大滝の脇をよじ登り、やがてぐるっと巻き道の急坂を上がって行き・・・

ロープ 急坂にはところどころロープも下がっていてこれをよじ登り・・・この急坂を下るのは大変、ですよ、きっと。


人があまり入らない、しかもあんまりはっきりしないところもあり、まあ、山岳会のみんなと一緒だから来れるものの、1人ではねえ・・・ちょっと来れない寂しすぎる道でした。

仙台神室 やがて、尾根に上がり、怪峰仙台神室が木々の間から見えてきました。右側が、すっぱりとキレ落ちています。

なおも登っていきます。みんな夢中で歩いたので、途中、ムジナ沢にかかる石橋を分ける案内標識を見つけそびれてしまいました。



やがてダンゴ平に到着です。ここから、仙台神室岳を往復しました。みんなは。

私は仙台神室岳は何度か来ているし、ここまでの道を歩いたことだけで、満足です。

空身でおいていったみんなのザックの番をN子さんといっしょにすることに。

じっとしていると、寒い。N子さんとおしゃべりしながら周りのキーンと澄み切った空気、赤く染まった山々を楽しみました。


もどってきたみんなと、県境へ。

すぐ目の先は山形神室岳。神室岳と言う名前の山は、いっぱいありますね。ふもとから眺める山は、あそこには神様が住んでいる、ように見えたのですね。


朝、まだ暗い時間に、バスの中で朝食をとったので、時間的にはまだ早かったけれど、見晴らしのいいここで昼食を取りました。



仙台神室 県境尾根から眺めた仙台神室岳(1356m)



展望
尾根からは、すばらしい景色が広がっています。

写真は北にのびる尾根と、大東岳、遠くに泉が岳から舟形山。


さらに、西に目を移せば、月山、葉山がごく近くに見えていました。

南には、北雁戸山からつらなる蔵王連峰、その先には遠く吾妻山。



ここから笹谷峠に至る道の反対、北に進路を取りました。地図を見てもらえばわかりますが 、名前のついていないピークを3つ、4つ、と越えていきます。

急坂なので、ハードです。


清水峠につきました。左に道をとれば、山形 高瀬集落へ通じます。この道は、ずっと昔から使われていた生活道路だったと言われています。人間の2本の足ってすばらしいね。

こんなに山深いところを越えて行ったり来たりしていたのですから・・・。


さらに歩いて・・・・
ついた! ばんざい! 車道の通じている二口峠へ着きました。13時45分。

6時半から行動開始して、7時間以上。みんながんばりました。

天気に恵まれ、穏やかな、紅葉のすばらしい山行だったわねー。やれやれ。


でも・・・・




ハプニングはこれからでした。


ここまで舗装道路が延びている山形側で、バスが待っていてくれるはずでしたが・・・・

バスが来ていません。


連絡しようにも、携帯電話が通じません。

担当者の電話に、メールが入っていることに気づき、土砂崩れのためにバスが上がってこれない、ということがわかる。


バイクが登ってきました。聞けば土砂崩れの先は通れないので、折り返してきた、とのこと。

とにかく、バスは、山形側に回っているはずだから、歩いて降りることになりました。


頭の中を、

あれ、ザックの中にヘッドランプは入っていたか・・・ザイルはあったか・・・あるある。

おにぎりも、あと2個入っている。

ビバーク用のツェルトまでは・・・持っていません。

頭の中は、最悪のことがよぎります。



舗装道路を下っていきます。

それにしても、よくも、こんな急峻な山深いところに、自動車道路を作ったものです。


県境から6km歩いたところ。
林道崩壊地 ジグザグな道をまるで串刺しするかのように土砂と倒木がふさいでいます。とにかく、すごい量の土砂。

まるで、人間の作った舗装道路という建築物をあざわらうかのような水の猛威のつめあと。


どうにか足でだったら通れるようです。石をよじ登り、倒木をまたぎ・・・

不安定な足元に気をつけて・・・
林道崩壊地

わたりきりました。


担当者が、下見をしたときには、道は車が二口峠まで上がることが出来た、とのことです。


通行止めの看板の前に、バスが待ってくれていました。

ほんと、ホッとしましたわ。

やっぱり、何があるかわからないから、秋は特に朝早く行動を開始するのが、正解ね。


バスの運転手さん、ありがとう。

電話が通じないかどうか、何度も通じるところまで降りて、連絡を試みてくれた、とのことでした。


帰りは、るぽぽ川崎 で汗を流して無事帰ってきました。





市役所5:00・・・・・・・ 6:10仙人沢登山口 6:35・・・・・・・ 9:42ダンゴ平 10;20・・・・・・・ 10:44県境尾根合流地点(昼食) 12:30・・・・・ 清水峠13:08 ・・・・・・・・二口峠13:45・・・・・・・土砂崩れ地点 15:06 ・・・・・・・迎えのバス停車地点15:40・・・・・・・るぽぽ川崎(入浴)・・・・・・・市役所



山岳会では、山行のおりに、性能のいいトランシーバーを連絡用に持っています。そして、それぞれが携帯電話も持参しています。

しかし、今回のようなハプニングには対応し切れませんでした。

さいわい、事故もなく、ビバークしなければならない事態にもなりませんでしたが、連絡方法にはもっといい方法があるかどうかを検討する必要があろうかと思います。



それから・・・・

たぶん、観光用に切られた二口林道だけれど・・・・


開通から30年以上もたっていまだに満足に車が走ることが出来ません。宮城県側では、地盤が脆弱で、落石が絶えず、そのために補修が追いつかず、未舗装のまま。いまも石が沢山落ちていて道路をふさいでいます。

補修費は、はるかに建設費を超えている、と聞いています。


今回私達が出遭った山形県側の土砂崩れは、つい最近、もしかして先月のことと思われますが、ジグザグの道はすっかり流されているし、これを補修するのはきっと、大変、不可能といってもいいだろうと思います。

というか、宮城県側に通じていないのに、補修する必要があるのかなあ・・・

自然の猛威のすごさを目の当たりにし、人の力の小ささをあらためて感じさせられました。



行動時間が9時間を上回る、これが華齢なる多賀城山岳会のすばらしい山行でした。




追記(10/17)

おかあさんの畑の会 さん、 こだま さん、 この指 さん、  400mannika(妻) さん、 のほほん さん、  シャンティcoco さん、  gaga-marrio さん、

来ていただき、コメントありがとうございます。

そして、ここを訪れてくれたみなさまありがとうございます。


皆様に、心配をおかけしてしまいました。

ほんとに、山形側まで降りたのはいいけれど、土砂崩れの現場を越えることが出来なかったら・・・もう一度山を登り返して宮城県まで歩ききるか、ビバークするか・・・

あの時は、バクチのような心境だったです。

山の中では、とにかく明るいうちに行動を終わらせることが鉄則で、ビバークだったら、新聞記事になりますよね。きっと。

そんなことにならず、無事下山できてほんとによかったです。


>案内図に通行止めとあったので一年中なのかしらと思っていましたが・・・・

のほほんさん、そのとおりです。宮城県側は、ずっと通れない状態が続いています。一昨年、この峠を足で歩きましたが 、もちろん、車はだめでした。

山形県側は、峠まで舗装されていて、つい先日(担当者が下見した時点)までは通れることを確認していたのです。


登山を趣味とするうえで、私たちがこの自然の中で生かしてもらっているという気持ちを忘れず、安全登山に勤めていこうと思います。


「みちのく山スキー日誌」 さん、来ていただきありがとうございます。「加齢なる」じゃあ、実も蓋もないじゃないですか。せめて「華齢」っていうことに、しておいてよ、ね。